「お金のこと、わざわざFPに相談しなくてもAIに聞けばよくない?」
最近はChatGPTなどの生成AIが身近になり、家計や資産運用の相談をAIにする人も増えてきました。

AIは便利だけど注意点も!
確かにAIは便利でスピーディー。しかし一方で、人間ならではの価値観や感情を理解するのは苦手です。
AIが得意 | AIが苦手 |
---|---|
スピード回答 比較や試算 制度の解説 データ分析 | 価値観の理解 個別の事情 情報の正確性 隠れた問題点 |
データ分析や複数のシミュレーション作成はAIの得意分野。
一方で相談者の価値観に寄り添ったアドバイスや、隠れた不安を察知することは、AIにはまだ難しいのが現状です。
大切なのはAIとFPどちらか一方に決めることでなく、『AI×FPのハイブリッド活用』
生成AIと人間のFP、それぞれの得意分野を組み合わせることでお金の不安は劇的に改善できます。
本記事では、AIの得意・苦手分野の深掘りだけでなく、実際の相談事例も踏まえたファイナンシャルプランナー(FP)との賢い使い分けについて詳しく解説していきます。
ChatGPTなどの生成AIが苦手なこと・得意なこと


AIはいつでも気軽に相談できる便利なツールです。しかしお金の悩みが全てAIで解決できるわけではありません。まずはAIの苦手なこと・得意なことについて具体例で解説していきます。
生成AIが苦手なこと
- 隠れた問題点への気づき
- 個別の価値観を踏まえた提案
- 責任ある判断や最新情報
隠れた悩みや問題点への気づき
AIは与えられた質問やデータに対して答えることはとても得意。しかし「そもそも相談者が気づいていない問題」や「言葉にしづらい本音」を引き出すことは苦手です。
人間のFPは雑談や会話の流れ、表情や声のトーンなどから相談者が「本当に不安に感じていること」を読み取りますが、AIにはまだ難しいのが現状です。
個別の価値観を踏まえた提案
同じ年収・家族構成でも、人によって考えかたや優先順位は違います。AIは一般的な回答が得意な一方で、「その人ならでは」の背景や価値観をくみ取るのは苦手です。
こんな回答が返ってきて、あなたは「なるほど、そうしよう!」と納得ができますか?
旅行が好きなのに、
「旅行はお金がかかるので、年1回の海外旅行をやめて国内の格安プランにしましょう。このほうが確実に貯金が増えます。」
車に乗るのが生きがいなのに、
「車は維持費が高いので、マイカーを手放してカーシェアや公共交通機関に切り替えましょう。それが家計にとって最適です。」
推しのライブ通いが楽しみなのに、
「推し活やライブはお金の無駄なので、やめて積立投資に回しましょう。そのほうが将来の資産形成につながります。」



確かに正論だけど、グヌヌ…ってなりますよね。
責任ある判断や最新情報の提供
税制改正や商品の新情報は常に更新されるため、AIの情報が古い場合もあります。
また、最終的な責任を持った判断はAIにはできません。平気で間違った情報を伝えてくることもあるので注意が必要です。
生成AIが得意なこと
- スピードと手軽さ
- データ分析やシミュレーション
- 制度や仕組みの解説
- 感情に左右されない客観的意見
スピードと手軽さ
AIで家計相談をする一番の魅力は、「スピードと手軽さ」です。24時間いつでも相談でき、即座に答えが返ってくるのはAIならでは。
例えば家事のスキマ時間や通勤中の電車など、時間も場所も選びません。
データ分析やシミュレーション作成
AIは情報の整理に強く、膨大なデータを瞬時に処理できます。
- 進路別に教育資金の必要額をざっくり試算
- 家計簿をもとにした支出の傾向分析
- 目標額や期間に応じた積立シミュレーション
「もしこうしたら?」を複数条件で試せる点もAIの強みです。
人間相手だと頼みづらい「ちょっとした作り直しや微調整」も遠慮する必要がありません。
制度や仕組みなどの解説
NISA、iDeCo、住宅ローン減税など、複雑な制度の概要をサッとまとめるのもAIの得意分野。
専門用語をわかりやすく言い換えたり、理解できるまで何度でも聞くことができるので知識ゼロの初心者でも安心です。
感情に左右されない客観的な視点
AIは感情に左右されない「冷静なブレーキ役」として優秀です。
株価の急落などで感情的になりがちな場面でも、AIは冷静。データや理論をもとに一貫したアドバイスを返してくれます。
人間のファイナンシャルプランナー(FP)が得意なことと注意点


AIは「気軽に使える」のが強みだけど、FPは「深く、一緒に考えてくれる」ことが最大の魅力。
AIが苦手な感情や価値観を読み取って「あなたの本当の悩みや不安」を整理するにはFPへの相談が有効です。
人間のFPが得意なこと
- 価値観や感情に寄り添った提案
- 隠れた悩みや不安への気づき
- 最新情報と提案に対する責任感
価値観や感情に寄り添った提案
FPは「正解の数字」ではなく、その人の気持ちに合ったプランを考えます。
同じ年収の家庭でも「旅行好きな夫婦」には毎年の旅行費用50万円を確保したプラン、「教育費を優先したい家庭」では子どもの進学に合わせた現実的な積立てプランなど、価値観に合わせたプランをオーダーメイドで作成します。
隠された悩みや不安への気づき
「教育費が不安」という相談の中で、実は「その後の老後資金が心配」といった、本当の悩みが出てくることも少なくありません。
AIは求められた質問に的確に答える点は優秀です。
一方でFPはお医者さんの問診のように、どこに問題があるのか隠れた悩みを引き出せるのが強み。
「相談者自身も気づいていない不安の中身」を引き出し、モヤモヤを解消することこそFPの大きな役割です。
最新情報と提案に対する責任感
金融制度や税制は毎年のように変わります。NISAやiDeCoのルールも数年単位で見直されますし、保険や住宅ローンも定期的に新しいものが登場します。
FPは常に最新情報をキャッチアップし、その知識をもとに責任ある提案を行います。
ファイナンシャルプランナー(FP)に相談する際の注意点
- 相談料の確認
- 最低1時間は必要
- 商品セールスに注意
相談料が必要なケースがある
FP相談には「無料」と「有料」があります。たとえば保険会社や銀行のFPは無料ですが、その代わり自社商品の提案が中心になることもあります。
一方、独立系FPの中には1時間5,000円〜1万円ほどの相談料がかかる場合があるので事前の確認が必要です。
1回の相談に最低1時間は必要
家計や将来設計の相談は、単なる数字合わせではなく「家族の夢や価値観」を整理する作業です。そのため、ヒアリングから提案まで最低でも1時間以上はかかります。
商品のセールスは即決しない
相談の中で保険や投資商品の提案を受けることはよくあります。悩みを解決するために金融商品の提案をすること自体は悪いことではありません。
しかしその場で即契約すると後から「やっぱり合わなかった…」となるリスクもあります。
「せっかく相談に乗ってくれたし断るのは悪い」なんて考える必要はないので、提案内容が本当に自分に必要なのか、冷静に判断していきましょう。
【重要】失敗しないFPの選びかた
- FPガチャをひかない
- 口コミは参考程度に
FPガチャをひかない
FP相談に申し込めるサービスは多数ありますが、そのほとんどが提携するFPをランダムに紹介するだけのFPガチャ。
よく大手〇〇が運営で安心!とか見るけど紹介されるのは大手でもなんでもない保険代理店が多いのが実情です。


これまで32社のFP相談を実際に体験して調査してきましたが、確実に自社FPに相談できたのはマネーコーチというサービスだけ。
この会社はあまり有名ではありませんが、お客様ファーストを掲げ、商品の押し売りがいっさいないことから利用者は急増中。



業界では珍しく、カメラオフで相談OKなのも嬉しいポイントです!
マネーコーチについては、実際に私が6回相談した体験レビューも参考にしてみてください。


ネットやSNSの口コミは参考程度に
ネットやSNSなどでインフルエンサーがお勧めしているFP相談も、ほとんどが上記のFPガチャで何の参考にもなりません。
口コミでFPの質が良かったと書いてあったところで、そのFPに相談できるわけではありません。
確かに相談しやすい雰囲気も大切ですが、FP相談では問題が解決するかどうかが最重要です。
現役FPでもある筆者が実際に体験して、本当にお勧めできると感じたサービスはたった5社だけ。
こちらも記事にまとめているのでFP相談で失敗したくない人は参考にしてみてください。


AIとファイナンシャルプランナー(FP)|お金の相談をする際の賢い使い分け


AIとFPにはそれぞれ強みと弱みがあります。「どちらか一方だけに頼る」のではなく、目的に応じて賢く使い分ける方法を解説していきます。
AIとFPの賢い使い分け方法
- 数字の整理やシミュレーションはAI
- 人生の優先順位や価値観の整理はFP
- 最終的な意思決定は両方を活用
1.AIでシミュレーションして不安や疑問を整理する
家計簿の支出分析や教育資金・老後資金の試算はAIが得意。
短時間で複数パターンを比較できるので、まずは大枠の数字を把握するのに適しています。
2.隠れた問題点や価値観に合ったプランはFPに相談
自分では気づけない不安や、言葉にしづらい悩みを引き出して整理してくれるのはFPの得意分野。
AIのシミュレーションを参考にしつつ、あなたの価値観に合ったライフプランを作成できるのは人間ならではです。
3.最終的な意思決定は両方を活用
FPに提案された内容に疑問があれば、必要に応じてAIで再度シミュレーションやチェックを行いましょう。両方を組み合わせることで、効率的かつ納得感のある判断ができます。
【テーマ別】AIとFPの得意なこと一覧
相談テーマ | AIが得意 | FPが得意 |
---|---|---|
家計管理 | ・家計簿データの分析 ・最適な支出の割合計算 | ・価値観を踏まえた優先順位づけ ・「好き」を尊重した節約術 |
ライフプラン | ・一般的なライフイベントの目安 ・複数シナリオの比較 | ・相談者の希望や人生観を反映したオーダーメイド提案 |
保険の見直し | ・保険商品の種類 ・コストの説明と比較 | ・過不足の判断や保障設計 ・隠れたリスクへの気づき |
住宅ローン | ・年収から借入可能額の計算 ・金利など銀行ごとの比較 | ・無理なく返せる金額の目安 ・団信や地域性を考慮した銀行選び |
教育資金 | ・進学先ごとの教育費試算 ・積立シミュレーション | ・家庭の教育方針に合わせた資金計画 ・あなたに合う教育資金の貯めかた |
老後資金 | ・年金額の試算 ・老後資金シミュレーション | ・働きかたや価値観を重視したオリジナルプラン |
資産運用 | ・金融商品の内容まとめ ・コストやリターンの分析 | ・心理的許容度を踏まえた運用アドバイス |
その他 | ・基本制度や金融用語の解説、いつでも気軽に何度でも質問できる | ・相続・事業承継・夫婦間調整など複雑で感情を伴う相談 |
生成AIを使うのが向いている場面
- 家計簿の支出を分析
- 教育資金や老後資金の試算
- 制度や仕組みを簡単に理解
- ちょっとした疑問をすぐ解消
家計簿の支出をざっくり分析
レシートや明細を整理して、「食費が多い?」「固定費は平均的?」と確認できます。
教育資金や老後資金の試算
「月3万円の積立で20年後いくらになる?」
「老後2000万円に備えるには毎月いくらの積立が必要?」といったシミュレーションがすぐ可能。
制度や仕組みを簡単に解説
NISAやiDeCo、住宅ローン控除などの制度をわかりやすく要約してもらえます。
ちょっとした疑問を気軽に質問
「扶養控除っていくら?」「児童手当は何歳まで?」など気軽に調べるのに便利です。
人間のFPに相談するのが向いている場面
- 漠然としたお金の不安がある
- 大きなライフイベントを控えている
- 夫婦の価値観をすりあわせたい
- 具体的な行動や商品選びがしたい
漠然としたお金の不安がある
「なんとなく不安」を具体的な課題に落とし込み、見えないリスクを発見するのはFPが得意とする分野です。
大きなライフイベントを控えている
住宅購入、結婚、転職、出産など、将来に大きく影響する意思決定をする前はFPへの相談をお勧めします。
こうした節目では、一度の判断が数十年先まで影響するため、数字だけでなく将来の生活設計全体を見渡して検討する必要があります。
夫婦の価値観をすり合わせたい
お金に関する考え方は、夫婦でも違うことが日常茶飯事ですよね。
FPに相談することで、第三者が間に入りながら冷静に話し合える場を持つことができ、「一方が我慢する」ではなく、「二人で納得したプラン」を作成することができます。
具体的な行動や商品選びがしたい
「結局、自分は何から始めればいいの?」と迷った時、FPは行動の優先順位を整理してくれます。
AIは幅広い情報をまとめるのは得意ですが、「あなたの場合はどれが良いか」という具体的な判断はFPの強みです。
これからの家計相談は「AI×FP」のハイブリッドへ


AIの登場で、家計の相談方法は大きく広がりました。これまで「FPに相談するしかなかった」世界から、気軽にAIに聞いてみるという選択肢が増えたのは大きな進歩です。
- まずはAIで数字を整理してみる
- そのうえで、大きな判断や実行はFPに相談する
こうしたハイブリッドな使い方が、一番安心で効率的です。
AIでお金の相談をするにあたってより精度の高いアドバイスが受けられるよう、ChatGPTをお金の相談専用にカスタムしたものも作成したので気軽に試してみてください。






お金の不安は、一人で抱え込むほど大きく見えてしまうもの。AIとFPを上手に組み合わせて、自分らしい未来に向けて一歩を踏み出していきましょう。
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